日本に「エビデンスに基づいた政策」が根付くためには何が必要なのか?教育経済学者の中室牧子先生との対談

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医学界新聞 中室牧子先生との対談記事(リンク

『「学力」の経済学』で有名な慶應大学の中室牧子先生との対談が医学界新聞の記事になりました。中室先生は、教育の世界において、日本にもっとエビデンスに基づいた政策をデザインすることが必要であるとおっしゃっています。今回、医学界新聞の企画で対談させて頂く機会ががありましたので、ご紹介させて頂きます。

そもそも、なぜ「エビデンスに基づいた政策」(Evidence-based policy making)が必要なのでしょうか?国の経済がどんどん発展しており、GDPも増え続けており、それによって生じた税収を潤沢に様々なところに分配することができる状況ならば、教育政策も医療政策もそれほど厳密でなくても良いのかもしれません。多少の無駄があっても他の分野にしわ寄せがくるわけでもないため許容されうるからです。

さらには、教育政策も医療政策もすごくうまくいっている場合には、それほどエビデンスに関して神経質になる必要はないのかもしれません。つまり、教育においては、学力はどんどん上がっており、日本の教育は世界でもトップクラスで、日本の大学が世界の大学ランキングの上位を席巻している、こんな状況の時には、教育政策を見直す必要性を感じないと思います。また医療に関しては、日本の医療システムが世界でもトップクラスで、医療費は世界でも最低レベルで、国民は自分たちが受けれる医療の質に満足しており、医師や看護師は労働環境に不満がない、そんな状況であれば現行の医療政策を大きく変更させる必要はないのかもしれません。

しかし実際はどうでしょうか?現実には上記のいずれもが今の日本の状況に当てはまらないことは明らかだと思います。教育にも医療にも十分な予算をさけるほど日本の景気は良くなれければ、それほど日本の財政事情も健全ではありません。日本の教育がどの国よりも優れているなんてことはないことは国民は知っていますし、日本の医療に国民も医療従事者もそれなりに不満を感じていると思います。だからこそ、限りある資源を有効に活用して、目的とするようなアウトカムが確実に達成できるような政策をデザインする必要があるだと思います。今までは(景気が良かったり、教育や医療がそれなりにうまくいっていたため)それほど必要なかったのかもしれませんが、現在の日本には「エビデンスに基づいた政策」が必要なのだと思われます。

このテーマに関する日本の現状、これからどうすれば良いのかに関して中室先生とざっくばらんに議論し、その結果を対談と言う形でまとめてもらいました。日本の教育と医療の将来のことですので、皆様とも一緒に考えていくきかっけにすることができれば幸いです。

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