なぜ「野菜を食べると健康になる」という本は売れないが「野菜は食べるな」という本はベストセラーになりうるのか?

このたび初の単著を出版させて頂くことになりました。タイトルは世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事(東洋経済新報社)、発売日は4月13日になります。

この本は「エビデンスに基づく本当に健康になれる食事の本」です。今までの研究結果をまとめて、がんや脳梗塞になるリスクを下げるために有効な食事について説明しています。食事とダイエットの関係に関して何が分かっているのかも説明しています。内容としては私がブログに掲載した食事に関する記事(科学的根拠に基づく本当に体に良い食事白米と健康の関係に関して分かっていること)を元に、日々の食事に関して知っておくべきエビデンスをカバーしたものになります。

日本は「野菜を食べると健康になる」という本は全く売れないが、「野菜は食べるな」という本はベストセラーになるポテンシャルがある国だと私は思っています。つまり何の根拠もないが斬新で目新しい本(楽して健康になれる方法が書いてある本)は売れるが、正しい内容の本は売れないのです。日本で本屋に行くと、「ふくらはぎをもむと健康になる」という内容の本や「腎臓をもむと元気になる」という内容の本が数十万部売れるベストセラーになっています。内容が正確ではない糖質制限の本もベストセラーになっています。

出版社は本が売れなければ経営が成り立たなくなるので、このようなトンデモ本を次々と出版しています。売れている本は本屋で平置きにされますし、新聞広告もたくさん打つようになります。多くの人は正しい情報と間違っている情報を見分けることができないので(健康に関する情報の非対称性)、売れている本、話題になっている本こそ正しい内容の本なのではないかと考えるようになります。そうすると、またトンデモ本が売れるようになる。つまり健康に関してトンデモ本ばかり出版され、正しい内容の本が駆逐されてしまっているのには「経済的合理性」があることが問題の根源なのだと思います(このあたりに関しては3月25日に発売されたばかりの朽木誠一郎さんの新著が詳しいです)。

何らかの方法でこの悪循環を断ち切らない限り、健康に関する誤った情報が溢れかえるこの状況は直らないと思います。私は2つの方法があると思っています。

一つ目は、正しい内容の本で公益性があれば本の売り上げが高くなくても儲かるようにすること。例えば出版社の収入や著者の印税を売り上げと連動させなくすれば、正しい内容の本を出版するインセンティブになります(しかしこれは現実的ではありません)。学校での教科書採用や課題図書をもっと拡大することもよいと思います。売れていないけれども良書に何らかの賞を与えるのも一つの手です。

そして二つ目の方法が、正しい内容の本を売れるようにすることです。正しい内容でも、知的好奇心を刺激することができれば売れるようにすることができるのではないかと思っています。今回出版する本はある意味これを試す実験でもあります。

野菜を食べると健康になると多くの人は知っていますが、なぜそのようなことが言えるのかをきちんと説明できる人は多くないと思います。子どもに「野菜を食べなさい」としつけをして「どうして?」と聞かれたら「健康に良いから」としか説明できない人が多いのではないでしょうか。そもそも野菜は本当に健康に良いのでしょうか?その科学的根拠(エビデンス)を知っていますか?野菜以外に関してはどうでしょうか?健康に良い食品の一つ一つに関して、自信を持ってその情報が正しいと言えますか?

本書に書かれた内容のうちいくつかをご紹介します。

  • 糖質制限は間違っています。なぜならば炭水化物の中にも、太る炭水化物と痩せる炭水化物があるからです。
  • カロリー制限は間違いではないもののミスリーディングです。カロリー摂取量が同じでも、太る食事と痩せる食事があります。こちらのニューヨークタイムスの記事にもあるように、痩せるために単純に食べる量を減らすのは間違いです。どれだけのカロリーを摂取するかよりも、何でそのカロリーを摂取するかの方がはるかに重要だからです。つまり、食べるものの「量」よりも「質」が重要だと考えられるようになってきています。
  • フルーツジュースや野菜ジュースは野菜・果物不足の解消方法にはなりません。これらを健康に良いと思って飲んでいる方は、ぜひ本書をご一読ください。
  • オーガニック食品やグルテンフリーに関してもエビデンスが出てきています。これらに切り替えることのメリットがある人と無い人がいます。

この本は、日本における食事と健康に関する情報の歪みを直すことを目的に書いた本です。内容の正確性を期すために、各界の専門家に原稿をチェックして頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。

疫学、栄養疫学の専門家 辻一郎先生(東北大学教授)

遠又靖丈先生(東北大学講師)

村木功先生(大阪大学助教)

腎臓病の人の食事 小松康宏先生(群馬大学教授)
高齢者の食事 五反田紘志先生(ロサンゼルス退役軍人病院)
小児の食事 窪田祥吾先生(WHO)
高血圧の人の食事 猪原拓先生(デューク大学)
糖尿病の人の食事 井上浩輔先生(UCLA)

「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」(東洋経済新報社)

https://www.amazon.co.jp/dp/toc/4492046240/ref=dp_toc?_encoding=UTF8&n=465392

 

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